公開日:2019/09/03
更新日:2019/09/03
キーワード:python 資格
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この記事でわかること
- pythonのスキルを証明する国内外の資格の種類
- pythonの資格試験の対策が最短でできる勉強法
- キャリアアップを目指すときに持ちたいpython以外の資格
はじめに
データサイエンスを行う上で不可欠とも言えるプログラミング言語・python(パイソン)には、いくつかの資格があります。
取得しておけば言語スキルを証明でき、転職する上で有利に働いたり、年収を増やす可能性も広がるでしょう。
この記事では、pythonの資格を取る上で把握しておきたいことや効率の良い勉強法、合わせて取得しておきたい別の資格についてご紹介します。
pythonがどういったプログラミング言語なのか、まだ掴めていない人は、別の記事で詳述しているので先にそちらを確認してください。
1.取得を目指すその前に!python資格で把握しておきたいこと
まずは、pythonの資格を取得するために把握すべきことをご紹介しましょう。
①pythonの資格取得の方法
国内でpythonの資格を取得するためには、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している試験を受ける必要があります。
Python3エンジニア認定基礎試験
「Python3エンジニア認定基礎試験合格者」の資格が得られる試験です。pythonの文法の理解度を問う問題が出題されます。問題数は全40問で、解答は選択式。70%以上正解できれば合格となります。合格率は70~80%です。
Python3エンジニア認定データ分析試験
「Python3エンジニア認定データ分析試験合格者」の資格が得られる試験です。pythonを使ったデータ分析の基礎知識や方法についての問題が出されます。こちらも同じく全40問(選択式)で、7割以上正解すれば合格です。
本試験は作成中につき未実施ですが、2019年8月27日から9月30日までの期間にベータ試験があり、合格すれば認定がもらえます。
②国内の試験概要
申し込みの方法
最寄りの試験会場(オデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターを参照)を探したら、希望の日時に開催されているか確認し、会場に直接申し込みましょう。
Python3エンジニア認定データ分析試験のベータ試験では、「【5000名達成キャンペーン】Pythonデータ分析ベータ試験 受験チケット+対策教材セット」が販売されています。チケットを購入したら、2019年8月27日から9月30日までの間に最寄りの試験会場に問い合わせ、チケット番号を伝えてください。
試験当日の持ち物
試験会場で発行される受験票(発行されない会場もあります)、写真付きの身分証明書、Odyssey IDとパスワードが必要です。Odyssey IDの登録は、Odysseyの公式ページから行えます。
受験料
Python3エンジニア認定基礎試験、Python3エンジニア認定データ分析試験ともに10,000円(税抜き)。学生と教員は5,000円(税抜き)です。
③海外にも資格試験がある
pythonの資格は、ポーランドの非営利団体「Open Education and Development Group (OpenEDG)」が実施している、「Python Certifications」試験を受けて取得する方法もあります。問題はすべて英語となっていますが、キャリアの可能性を広げたい人は挑戦してみましょう。
試験は以下の4種類です。
Certified Entry-Level Python Programmer(PCEP)
pythonの基本概念やデータ操作、関数など、基礎的なスキルに関する問題が出されます。
Certified Associate in Python Programming(PCAP)
pythonの基礎文法や理論のほか、モジュールの使い方やデータアグリゲーションなどに関する問題が出されます。
Certified Professional in Python Programming 1(PCPP-32-1)
ファイル処理や数学・工学・科学系のライブラリ、GUIプログラミングなど、pythonを使ってデータ分析ができるスキルレベルを問う試験です。
Certified Professional in Python Programming 2(PCPP-32-2)
パッケージの作成や配布、デザインパターンなど高度なpythonスキルを持っているかを問う試験となります。
2.何から取り組めばいい?覚えて損はない効率の良い勉強法
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する試験では、資格試験の主教材が決まっていて、そこから問題が出される形式となっています。
しかし専門性が高くボリュームもあるため、プログラミングやpythonの知識をある程度身につけていないと、挫折してしまうかもしれません。
そこでこの章では、
- pythonの基礎知識を身につける方法
- 認定教材と模擬試験で勉強する方法
の2つに分けて、ご紹介します。
プログラミング初心者の方は①から読んで②へ、すでに実務でpythonを使っている人は①を飛ばして②へ進んでください。他のプログラミング言語を使っているものの、pythonは初めてなので心配……という人は、①に少し触れてから②に取り組むとよいでしょう。
①pythonの基礎知識を身につける方法
学習サイトを利用する
インターネットには、pythonの練習を効率よくできる学習サイトがいくつかあります。体系化されたカリキュラムに従いながら、実際に自分でコードを書きながら学ぶことで、pythonの概要を効率よく掴むことが可能です。ここでは5つのサイトをご紹介します。
Progate オンラインでプログラミングの基礎が身につけられる学習サイトです。スライド学習による講義と、初学者でも簡単に解ける演習問題を出してくれるのが特徴。コードを書きミスしたときに、どこをどのようにして間違っているのか指摘してくれるので、つまづかずに学習を進められます。また、pythonを使うのに環境構築をしなくていいのもメリットです。 コースは「Python Ⅰ」から「Python Ⅴ」までの5種類。始めるには無料会員登録、「Python Ⅱ」の途中からは有料会員プラン(税込み980円/月)への登録が必要です。 |
paizaラーニング 同じくオンライン上で学習できるサイトです。講義が解説つきの動画なので、コードの入力や実行のプロセスが理解しやすいのが魅力。動画は1回3分なので、無理なく進められます。こちらも環境構築が不要なので、とにかくまずはpythonを触ってみたい人は、ぜひ利用してみてください。 pythonを勉強できるコースはいくつかありますが、初心者は完全無料で受けられる「Python3入門編」がおすすめ。無料会員登録をすれば、すぐに始められます。 |
PyQ 初歩的な知識から機械学習、Webアプリの開発のノウハウまで、1000問以上の問題を通して学べるサイトです。環境構築が不要、プロによる学習サポートが受けられる、コンテンツが最新情報に自動更新されるなどのメリットもあります。 始めるときは、ユーザー登録をしてから、ライトプラン(税込み2980円/月)かスタンダードプラン(税込み7980円/月)を選んでください。 |
プログラミング言語 Python 3 入門 学習者と教育者を繋ぐオンラインマーケットプレイス・Udemyのコースのひとつです。pythonの基本から応用まで、チュートリアル動画でレクチャーしてくれます。正規価格は9600円ですが、時期によって割引が実施されます。 |
【世界で5万人が受講】実践 Python データサイエンス Udemyのコースのひとつで、100本を超えるビデオ講義や、pythonコードを集めた資料の配布をしてくれるのが特徴です。正規価格は12600円で、割引されることもあります。 |
参考書籍を読む
初心者向けの書籍も有効です。以下、おすすめの本をご紹介します。
②認定教材と模擬試験で勉強する方法
上述したように、国内のpython資格試験は、決められた主教材の掲載内容が出題範囲となっています。そのため、主教材を中心に勉強するのが合格の近道です。
Python3エンジニア認定基礎試験
「Python3エンジニア認定基礎試験」の認定教材は、オライリー・ジャパンが刊行している『Pythonチュートリアル 第3版』です
※Webサイトでも読むことが可能。
出題範囲は下記の通り。出題数が多い分野を重点的に学ぶとよいでしょう。
章立て 出題数 出題率 1章 食欲をそそってみようか 1 2.5% 2章 Pythonインタープリタの使い方 1 2.5% 3章 気楽な入門編 6 15.0% 4章 制御構造ツール 9 22.5% 5章 データ構造 7 17.5% 6章 モジュール 2 5.0% 7章 入出力 1 2.5% 8章 エラーと例外 4 10.0% 9章 クラス 2 5.0% 10章 標準ライブラリめぐり 4 10.0% 11章 標準ライブラリめぐり─PartII 1 2.5% 12章 仮想環境とパッケージ 1 2.5% 13章 次はなに? 0 0.0% 14章 対話環境での入力行編集とヒストリ置換 1 2.5% 合計 40 100.0%
「Python3エンジニア認定基礎試験」の場合は、主教材の学習とは別に、Dive into Codeが無料提供している「Python3エンジニア認定基礎模擬試験 β版」を受けるとより確実です。
Python3エンジニア認定データ分析試験
「Python3エンジニア認定データ分析試験」の主教材は、『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』となっています。出題範囲は、下記の通りです。
章 節 問題数 問題割合 1 データエンジニアの役割 2 5.00% 2 Pythonと環境 1 実行環境構築 1 2.50% 2 Pythonの基礎 3 7.50% 3 Jupyter Notebook 1 2.50% 3 数学の基礎 1 数式を読むための基礎知識 1 2.50% 2 線形代数 2 5.00% 3 基礎解析 1 2.50% 4 確率と統計 2 5.00% 4 ライブラリによる分析実践 1 NumPy 6 15.00% 2 pandas 7 17.50% 3 Matplotlib 6 15.00% 4 scikit-learn 8 20.00% 5 応用: データ収集と加工 0 0.00%
3.合わせて取得したい資格は?キャリアアップに役立つ資格一覧
pythonの資格は取得すればスキルレベルが明確になり、企業側から評価されやすくなります。
ただ他の試験と比べると認知度が低い、試験自体がそれほど難しくないという認識があり、思うほどキャリアアップに繋がらないのが現実です。
最後に、一緒に取得しておきたい資格と注意点をご紹介するので参考としてください。
①情報処理技術者試験
情報処理推進機構が実施している国家試験です。IT業界を始め、さまざまな機関で認知されている資格なので転職活動に活かせます。勉強する中でIT技術の根本的な知識が身につき、新たな技術や需要の変化に対応できるのもメリットです。
②各種言語資格
pythonと合わせて各プログラミング言語の知識を習得すれば、転職先の選択肢を増やすことができます。
③資格取得を目指すときの注意点
pythonの資格や上記の資格は、客観的な評価指標のひとつになります。
しかし企業によっては、資格よりも論理力や問題解決力、基本的なコミュニケーション能力などを求めたり、実際に開発した制作物(ポートフォリオ)を優先することも少なくありません。
試験に合格できるスキルと実践で役立つスキルは別物と考え、資格取得だけに時間をかけるのではなく、転職先がどのような人物を求めているのかなどの研究も怠らないようにしましょう。
4.まとめ
- 国内の資格は「Python3エンジニア認定基礎試験合格者」と「Python3エンジニア認定データ分析試験合格者」の2種類ある。
- 勉強するときはプログラミング初心者はまず概要を掴むことから。実務経験がある人は、すぐに主教材を使うのが効率の鍵。
- pythonの資格はキャリアアップに繋がりにくいのが実状。他の資格取得も視野に入れながら、転職先が求める人物像の理解に努めよう。
おわりに
pythonの資格は、初心者でも対策すれば取得しやすいため、有用性を過信しないことが大切です。
他の記事で仕事に役立つ知識や、実務経験を積むための方法を紹介しているので、一緒にチェックするのをおすすめします。