pythonの開発環境を構築!インストール手順やIDE5つを解説

この記事を書いた人
北爪 聖也

株式会社pipon代表取締役。 キャリアはADK(広告代理店)でテレビ広告運用をして残業120時間するが、ネット広告では自分の業務がAIで自動化されていることに驚愕する。そこで、機械学習受託会社に転職し、技術力を身につけた後、piponを創業。現在、製薬業界、大手監査法人、EC業界、様々な業界でAI受託開発事業を運営。

公開日:2019/09/04
更新日:2019/09/04
キーワード:python 開発環境 初心者 IDE ツール
文字数:6000文字(読み終わるまでおよそ10分)

この記事でわかること

  • pythonのインストールの仕方や動作確認の方法
  • 快適な開発環境構築に必須なIDEの種類とその特徴
  • 開発環境での悩みを解決してくれる参考サイトや参考書籍

はじめに

データ解析やAIの開発、業務の効率化など多くのプログラムを実行できるのが、python(パイソン)というプログラミング言語です。

これを使って実務を行うときには、他の言語と同様、開発環境(自分のパソコン上でプログラムを開発できる環境)を構築しなければいけません。

この記事では、開発環境の第一歩となるpythonのインストール方法や、構築に必要不可欠なツールをご紹介しています。つまづいたときにサポートしてくれるサイトや書籍などもリストアップしているので、快適な開発環境を作る参考としてください。

環境を構築したら、ぜひ他の記事を参考にしながら、コードの読み書きの練習を始めましょう。

1.開発環境構築はここから!pythonのインストール方法

acworksさんによる写真ACからの写真

pythonの開発環境を構築は、プログラミング言語そのものをパソコンにインストールすることから始まります。

この章でWindowsとMacそれぞれの入手手順と、正常に動作するか確認する方法をご紹介しましょう。

①pythonのインストール手順

Windows編

まずは手持ちのWindowsが、64bit版なのか32bit版なのか調べておきましょう。Microsoftの公式サイトで確認できます。
pythonの公式サイトにアクセスします。画面中央にあるリストから最新版をクリックするとページが移行し、その下部に「Files」という項目があります。Windowsの種類が64bit版だった場合は「Windows x86-64 executable installer」、32bit版だった場合は「Windows x86 executable installer」をクリックしてください。
ダウンロードしたパッケージを開くと、Setup画面が立ち上がります。このとき、最下部にある「Add Python ○.○ to PATH」(○はバージョンの数字)を必ずチェックしてから、「Install Now」をクリックしてください。

Mac編

Macには、すでにpython2がインストールされています。ただ古いバージョンなので、やはりインストール作業が必要です。Windows同様、pythonの公式サイトにアクセスし、最新版をクリック。ページが移行したら「macOS 64-bit installer」(OSが10.8以前の場合は「macOS 64-bit/32-bit installer」)を選択します。
パッケージを開き、指示に従ってインストールします。
Macの場合は、ネットワーク通信に使うSSL証明書が必要になります。アプリケーションフォルダからpython○.○(○はバージョンの数字)にアクセス。「Install Certificates.command」をダブルクリックすればインストールできます。

②正常に動作するか確認する方法

pythonがインストールできたら、入力したコードが実行されるか見てみましょう。確認作業は次のとおりです。

テキストエディタにサンプルコードを入力する

先にテキストエディタ(何でも構いません)に、実行するコードを入力します。今回は、

print(“Hello World”)

と打ち込んでおきましょう。

専用の拡張子をつけて保存する

入力が終わったらファイル名を、

test.py

にして保存します。「.py」はpython専用の拡張子です。

保存場所はどこでもいいのですが、特に決まっていなければドキュメント(macの場合は書類)にしておいてください。

コマンドプロンプトで実行する

コマンドプロンプトは、pythonで入力されたコードを実行するアプリです。

開いたら次の文字を打ち込んでください。

Windowsの場合cd My Documents
macの場合cd Documents

これで、コード入力したテキストファイルが入っているドキュメント(書類)に移動できます。

その後「python test.py」と入力し、アプリ上にコードの実行結果である「Hello World」が出れば、pythonは正常に動いています。

2.一緒にインストールしよう!開発環境の利便性を高めるツール群

tomonyuki’s photoさんによる写真ACからの写真 

前章で見てきたように、pythonはメモ帳のような一般的なテキストエディタでも、プログラムを実行することはできます。

しかしこれだけでWebスクレイピングやデータの加工、機械学習やディープラーニングの開発などをしようとするのは、作業量が膨大なため実質不可能です。

以下に開発環境の利便性を高めるツールをご紹介するので、一緒にインストールするようにしましょう。

①Anaconda

pythonの開発環境を構築するときに、Anacondaをインストールしておいて損はありません。

Anacondaとは、プログラミングに役立つ数種類のライブラリ(よく使われる機能やデータがひとつになったファイル)が、ひとつになったパッケージのこと。データ解析や機械学習に必要な開発環境が、一度のインストールで構築できるのがメリットです。

公式サイトにアクセスしてダウンロードし、画面の指示に従えばインストールできます。

Anacondaに含まれているライブラリで、代表的なものをいくつかご紹介します。

NumPy

数値計算やデータ解析をスピーディーに行ってくれるライブラリです。

Matplotlib

収集したデータを散布図や折れ線グラフなどで描画してくれるライブラリです。

QtConsole

プログラムのファイルを作らず、即座に確認できる対話型のライブラリです。電卓機能や画面にグラフを描ける機能も備えています。

Jupyter Notebook

コードや説明文章の記述、ログやグラフなどの実行した結果をまとめて記録できるツールで、データサイエンスを効率化できるメリットがあります。

Spyder

コードに色を付けるといった高機能なテキストエディタや、設定した箇所で処理を一時的にストップさせられるブレークポイント機能などを搭載したツールです。

②IDE(統合開発環境)

IDE(統合開発環境)は、テキストエディタ・コンパイラ・デバッガをまとめ、開発者の負担を軽減してくれるツールです。

AnacondaにJupyter NotebookやSpyderといったIDEが含まれていますが、他にもpythonの開発環境に適したものが複数あります。以下に代表的な5種類のIDEを、メリット・デメリットを交えながらご紹介しますので、自分に合ったIDEを選んでインストールしてみてください。

Atom

GitHubが開発したテキストエディタです。atom-runnerpython-docstringなど、Atomエディタ内にリリースされているパッケージをインストールすることで、プログラミングに便利なIDEとなります。

メリット軽量で操作がシンプルのため、プログラミング初心者に向いている。パッケージが豊富のため、熟練者でも使いやすい。
デメリット初期設定がやや煩雑。

Visual Studio Code(VSCode)

Microsoftが開発したソースコード専用のテキストエディタです。こちらも拡張して使うタイプですが、Atomと比べると自由度は劣ります。その分、入力をサポートしたりVS Code内でターミナルを起動できるなど、デフォルトの機能が充実しています。

メリットインストールの時点で日本語表記のため、つまづきにくい。アイコンの配置など、細かなところまでユーザー目線で考えられていて使いやすい。
デメリット初期設定には、Anacondaで仮想環境を構築する必要がある。

PyCharm

JetBrainsがリリースしたpython向けのIDEです。「Community Edition(無料)」のほかに「Professional Edition(有料)」があり、30日間無料で試せるようになっています。

メリット「コード解析」「Search everywhere」「TypeHinting」など開発に必要な機能がすでに揃っている。python専用のため、インストールさえすれば環境構築は不要。動作が早く、ストレスを感じにくい。
デメリット有料版でないと使えない機能が多い。

Eclipse

IBMによって開発されたIDE。Javaの開発環境に優れていますが、pythonや他の言語にも対応しています。

メリット開発支援のプラグインが豊富でカスタマイズが可能。効率よくコードが編集できる機能が充実している。
デメリット起動に時間がかかる。Javaのインストールが必須。

3.もしも困ったら……開発環境に関する参考サイトや書籍

パンダの中のパンダさんによる写真ACからの写真 

pythonをインストールし、IDEを導入すれば開発環境の構築は完了です。しかし必要なステップが多いため、途中でつまづいてしまうこともあるでしょう。

そこで最後に、困ってしまったときに助けとなる参考サイトや参考書籍をご紹介します。

①参考サイト

python公式サイト

pythonのインストールの手順が画像つきで詳しく紹介されています。

progate

オンラインでpythonのノウハウが学べるサイトです。インストールから実行確認の方法まで説明されています。

Python-izm

pythonのインストールや確認作業のほか、スキルアップのための指南がレベル別に掲載されています。

②参考書籍

下記は、初めて開発環境を行う人に適した書籍となります。参考サイトと並行して利用すると、pythonを深く理解できるのでおすすめです。

4.まとめ

  • 開発環境の第一歩はpythonのインストール。最新版を手に入れたら動作の確認を忘れずにしよう。
  • 快適な開発環境の構築にはIDEが必須。メリット・デメリットをよく確認して選択を。
  • 困ったときはサイトや書籍に目を通して、ひとつひとつ解決する。

おわりに

pythonの開発環境は、初めてでも解説どおりに作業を進めれば、必ず構築することができます。

ただ、それでも聞き慣れない用語や手続きの煩雑さに戸惑うかもしれません。こちら以外の記事にも目を通し、pythonの基礎知識を身につけておくのがおすすめです。