今回は、プログラミングスクール「DataMix(データミックス)」さんのインタビューをお届けします。 「データサイエンティスト育成専門」をうたう同スクール。6か月という期間の中で、どのようなことを学べるのでしょうか? 代表自ら「かなりキツいですよ」と語るカリキュラムのリアルな内容を、本記事ではお届けしていきます。 お話を聞いた人:株式会社データミックス代表 堅田さん インタビュアー:いしましん |
学べるのは「ビジネス課題とデータ解析を繋ぐ」スキル
――「データサイエンティスト育成」をうたっていますが、どのようなことを学べるのでしょうか?
堅田さん「私たちのカリキュラムが目的としているのは、ビジネスの問題をデータ分析の課題へと落とし込む『ビジネストランスレーター(翻訳者)』を育てることです。
そのため一般のプログラミングスクールのように、PythonやRといったプログラミング言語の学習や、それらを用いた開発・実装…といった内容はメイン領域ではありません。生徒には、これらの言語をスラスラ使いこなせなくても最悪かまわない、と伝えています。
それよりも、ビジネスの問題をデータ分析の領域に落とし込み、適切なデータを技術者にリクエストでき、そしてデータを元に具体的な解決策を考える。そういうスキルのほうがよりバリューを発揮できると」
――エンジニアとしての技術を学ぶというよりは、ビジネススキルを学ぶ形に近い?
堅田さん「はい。私たちのスクールが対象としているのは、主に文系のビジネスパーソンです。マーケター、企画営業、商品開発、リサーチャー……コンサルタントも最近は増えてきました。
逆にエンジニアの人はあまりいません。コーディングやプログラミングをメインで学びたいという人は、技術の学習に特化した別のスクールを選ぶ傾向が高いように思います」
――ビジネスサイドに特化している、というのは他にない特徴ですね。
堅田さん「この方針のベースには、私自身がこれまで経験してきたことがあります。
もともと監査法人や事業法人などでデータ解析の業務にたずさわってきたのですが、その過程で、経営・企画層が考えるビジネスの課題と、それをデータによって解決することとの間には、大きなミゾがあることを感じたんです。
データ分析をしても、その活用が難しい。
あるいは活用方法がわからない。
だからこそ、ビジネスとデータ解析、その両者を繋ぐ人材が今の時代に必要なのではないか……。
そう考え、ビジネス実務に特化したカリキュラムを用意しているんです」
ケーススタディを繰り返し、実践的な力を身に着ける
――カリキュラムは具体的にどう進むのでしょうか?
堅田さん「入学前の準備で基礎知識の講義がありますが、基本的にはケーススタディが中心となります。
企業から依頼を受けたと仮定し、問題解決に必要な課題は何か、課題解決にリクエストすべきデータは何か、そのデータを元にどう課題を解いていくか、ということを、ひとつひとつ学習していきます。
学習は四段階に分かれており、第一段階のブートキャンプでは、課題の整理から解決までのステップをひとつひとつ教えていきます。しかし、次のベーシック、そしてアドバンスと進んでいくにつれて、各プロセスにおいて自分で考えていく割合が多くなっていきます。
そして、いわゆる卒業課題であるインテグレーションでは、自分で解決したいビジネス上の問題を見つけ、その解決に向けたリサーチすることからはじめていきます」
――その元になる問題は、どこから見つけてくるのでしょう?
堅田さん「生徒さんご自身が所属する会社から課題を見つけてくる場合もありますし、当スクールと提携している企業から依頼を受け、現実のデータに触れながら分析を進めていくという場合もあります。
いずれの場合も、単にデータ解析や統計の技術だけでなく、生徒さん自身が持つ事業ドメインの知識が重要になりますね」
――今までの事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
堅田さん「ECサイトのランキングデータを解析したメディア関係者の方ですとか、広告業界の方で、アサインするクリエイターの組み合わせごとに広告効果を予測するといったシステムを作った事例もあります。
こうしたシステムを実際にプロダクトにして、数億円規模の売上を作った人もいますよ」
――投資効果を考えると、とんでもないですね……!
堅田さん「自分もそれやりたかったな……と思うことも、正直あります(笑)」
「厳しく」でも「ゆるく」。学習継続のコツは目的意識
――でも、6か月でそこまでのことをやるとなると、かなり大変そうな印象ですね。
堅田さん「めちゃくちゃキツいです(笑)。課題へのキャッチアップには、基本的に1日2~3時間の学習が必要になりますので、途中で脱落してしまう人も多いんです。
もともと途中で抜けるつもりだった、という人もいますが、ついていけずにドロップアウトしてしまう人もいます。最後までカリキュラムを履修するのは、おおよそ全体の5割くらいでしょうか。
スクールとしても、どうにか全員をキャッチアップしていきたいのですが……他の生徒さんとのことも考えると、なかなか難しい部分があります」
――「学習時間がとれない」というのもネックになりそうです。
堅田さん「別部署に転勤になり、忙しくなってやむなく中断……というケースはありますね。ただその一方で、時間がない経営トップ層の人ほど、最後まで履修する率が高いという側面もありますよ」
――それはなぜなのでしょうか?
堅田さん「目的意識の違いかな、と思います。自分でもビジネスのモデルが頭にあり、学習することがどうビジネスに役立つのかの方程式も見えている。
そういう人だからこそ、モチベーションの維持にも繋がるのでしょう。
当スクールの在校生・卒業生のコミュニティがあるのですが、そこでも自主的な勉強会をはじめ活発な交流が行われていますよ。
データ解析を活用って最高のカレーを作る…なんてプロジェクトもあります(笑)」
――いいノリですね(笑)
堅田さん「この空気が、うちの校風ですね。授業も厳しい、宿題も予習復習も大変、だけど『ゆるい』っていう……。当校はグループワークメインで、人と会話する機会も多い。
強い目的意識と事業アイデアがあり、かつチームで学んでいくことを楽しめる方なら、きっと充実した学びを得ることができるのではないかと思います」