公開日:2019/9/12
更新日:2019/9/12
キーワード:BIツール とは
文字数:4600(読み終わるまでおよそ8分)
この記事でわかること
- BIツールの本質、機能、メリットなどの基礎知識
- 導入する前に抑えておきたい、失敗を防ぐための2ステップ
- 自社に適したものを探すのに役立つBIツールおすすめ7選
はじめに
BIツールとは、大量のデータの収集・分析を行い、課題の発見と解決のサポートしてくれるツールです。ビジネスの発展において重要な改善点の提案が期待できるため、導入している企業は少なくありません。
ただBIツールは、場合によってせっかく導入したのに経営陣やスタッフに使ってもらえず、費用を無駄にしてしまう可能性もはらんでいます。
それを防ぐには、まずこの記事で解説しているBIツールの基礎知識、失敗を防ぐ導入ステップを知ることが不可欠。ひと通り身につければ、最後に紹介するおすすめのBIツールから、自社に適したものを選ぶこともできるでしょう。
なお、BIツールを解説した記事はこちら以外にもあるので、一緒に読んでもらえたら幸いです。
1.BIツールとは何か?導入前に身につけるべき基礎知識3つ
BIツールの導入前に覚えたい基礎知識は、
①BIツールの本質
②BIツールの主な機能
③BIツールのメリット
です。
まずはこちらから確認していきましょう。
①BIツールの本質
BIツールは、自社内の情報の解析結果を経営に取り込む「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」をサポートする役割を担っています。
その本質は意思決定のスピードアップと、企業の競争力向上です。そのために効率よくデータを収集したり、グラフィカルに画面に表示できる機能を搭載しています。
②BIツールの主な機能
BIツールの主な機能は4つです。
オンライン分析処理機能
収集したデータを元に複数の項目軸を持つデータベースを生成、スライシングやドリルアップ、ドリルダウンを使いながら分析をする機能です。
データマイニング機能
統計学やAIを使って、データから新たな知識や予測を発掘(マイニング)する機能です。
シミュレーション機能
過去のデータを元にシミュレートを行い、改善案に根拠を与える機能です。
レポーティング機能
オンライン分析処理機能・データマイニング機能・シミュレーション機能で分析した結果を可視化する機能です。グラフやチャートを使いながらひとまとめに表示するツール「ダッシュボード」と情報を共有することで、課題を視認しすくしてくれます。
③BIツールのメリット
アクションまでの時間を短縮できる
データ分析に費やしていた時間を大幅に減らしつつ、多量のデータを分析できるようになるので、アクションに移る時間が早くなります。データ解析に割いていた人的リソースを、他に活用できるのもメリットです。
各部署の状況が把握しやすくなる
自社内に散らばっていたデータをひとつにすることで、各部署の活動が可視化され、よりデータ分析が簡単になります。
専門家でなくともデータ分析、活用ができる
BIツールはプログラミングの知識が不要だったり、マウス操作で扱えるものがほとんどで、専門家以外のユーザーでも簡単にデータ解析できます。各部署で効率よくPDCAサイクルを回せるようになり、企業全体の生産性向上も見込めます。
問題の早期解決ができる
リアルタイムでデータ分析を行ってくれるので、信頼性のある結果が得られ、正確かつ迅速な意思決定ができます。
他システムと連携できる
基幹システム、営業支援システム、顧客管理システムなど、企業の根幹や売上に関わる重要なシステムと連携でき、詳細なデータ解析の結果を得られます。
2.導入で失敗しない!BIツールを長く使ってもらうための2ステップ
BIツールには業務の改善や効率化、問題の早期発見・解決など大きなメリットがあります。
加えて柔軟にカスタマイズできるものが多く販売され、業界問わず取り入れやすくなっているのが、注目を集めやすい所以です。
しかし、ただ便利だからという理由だけで導入すると、すぐに使われなくなってしまう可能性が大。この章で、失敗しない手順をご紹介します。
①目的を利用者と確認する
最初に、BIツールを使う目的を確認しましょう。経営陣や現場のスタッフとコミュニケーションを取りながら、解決したい課題や活用したいデータなどを確認してください。
その際、BIツールを継続して使ってもらえるように必要性や利便性を伝えたり、BIツールの知識を共有することも重要です。
またヒアリングするだけでなく、利用者の規模はどれくらいか、必要なデータがBIツールと連携できるのかなど、実際の運用の想定もするようにしましょう。
本当にBIツールが必要か考える
目的よっては導入の再検討も視野に入れます。
例えば、データの収集、可視化のみを目的としているなら、わざわざBIツールを導入する必要はありません。専門家の知識を借りれば十分だからです。
また、次のようなデータの場合、Excelで分析したほうがいいこともあります。
同じソースから集められたデータ |
小規模のデータ |
個人のプロジェクトで使用するデータ |
更新や変更が必要ないデータ |
②最適なBIツールを選択する
BIツールは現在、民間企業から多種多様なものが販売されています。
上述したことを踏まえながら、次のことを基準に選ぶといいでしょう。
チェックポイント | 基準 |
型 | カスタマイズ性に優れたオンプレミス(ソフトウェア)か、コストが抑えられるクラウドか |
料金 | 予算の範囲内か |
操作性 | 利用者のレベルに合っているか(一般ユーザーならマウスだけで操作できるかなど) |
テンプレートの種類 | 業種・業務に合ったテンプレートがあるか |
データの連携 | 自社のデータがBIツールと連携できるか |
利用できる範囲 | 利用者の規模数に対応できるか |
3.比較してみよう!おすすめBIツール7つの特徴・型・料金
導入の手順を抑えたら、BIツールの購入に進みましょう。
ここでは7つのBIツールの特徴や型、料金をご紹介しますので、目的と照らし合わせながら比較してみてください。
①Google Data Portal
特徴
Googleが提供しているBIツール。Google 広告、Google Analytics、Google スプレッドシートなどのデータソースを簡単に取り込めます。クリックやドラッグ&ドロップだけでチャートやグラフの作成、図形や画像の追加、色やロゴの変更ができます。
型
クラウド
料金
無料
②Tableau
特徴
国内外で注目を集めているBIツールです。各データとの連携を高速で処理し、リアルタイムで指標を表示してくれるのが特徴。美しいビジュアルに加えて、時系列再生機能、エリアマッピング機能といった豊富な機能でインサイトをサポートしてくれます。
型
クラウド、オンプレミス
料金
Tableau Creator | 102,000円/年 |
Tableau Explorer | 51,000円/年 |
Tableau Viewer | 18,000円/年 |
③DOMO
特徴
KDDIやPanasonicなど、1,000社を超える企業に選ばれているBIツールです。データの視覚化に必要な、DWH(データウェアハウス)やETL(システム連携)といったツールをワンストップで提供しています。コネクタが数百種類と豊富なのも特徴です。
型
クラウド
料金
要問い合わせ
④Yellowfin
特徴
オーストラリアの企業であるYellowfinが開発した、世界70ヶ国以上で利用されているBIツール。地図上に売上や顧客に関するデータを表示できるロケーションインテリジェンス機能、分析内容を元に異なる提案のどちらかに投票できる採決機能など、豊富な機能を搭載しているのが特徴です。Google スプレッドシートやGoogle Analytics、Facebookなどのデータに接続できます。
型
クラウド、オンプレミス
料金
Yellowfinユーザーライセンス・5ユーザー分 | 412,500円/年 |
Yellowfinユーザーライセンス・25ユーザー分 | 1,375,000円/年 |
スターターパック | 378,000円※次年度以降は412,500円 |
⑤Actionista!
特徴
日本企業の株式会社ジャストシステムが開発したBIツールです。ドラッグ&ドロップで操作可能なだけでなく、項目選択だけでABC分析やZチャートといった高度な分析ができる「分析シナリオ」が用意されているなど、徹底して一般ユーザーに向けて作られているのが特徴。純国産ならではの手厚いサポートを受けられるのもポイントです。
型
オンプレミス
料金
Basic Edition | 820万円~ |
Actionista! Workgroup Edition | 要問い合わせ |
Actionista! Enterprise Edition | 要問い合わせ |
⑥MotionBoard Cloud
特徴
地図とデータを連携させる、世界初の「リアルタイムGEOコーディングエンジン」を搭載したBIツールで、顧客や店舗の住所情報を緯度経度にスムーズに変換することが可能。スマートフォンやタブレット端末と連携し、外出先でのデータ確認なども簡単にできます。
型
クラウド、オンプレミス
料金
クラウド(10ユーザー) | 30,000円/月~ |
パッケージ(10ユーザー・初年度の年間保守込) | 230,0000円~ |
⑦lakeel BI
特徴
Excelに近いインターフェースとドラッグ&ドロップ機能で、初心者でも直感的に使えるBIツールです。「経営分析テンプレート」や「人事分析テンプレート」など数十種類のテンプレートがあり、レポートデザイン機能を使ってテンプレートをカスタマイズすることもできます。
型
オンプレミス
料金
要問い合わせ
4.まとめ
- BIツールを導入する前に、本質やメリット、機能などの基礎知識を抑えよう。
- BIツールを現場で使ってもらえるよう、現場とのコミュニケーションを密に取る。
- 自社の目的が定まったら、BIツールそれぞれの特徴や型、料金などに着目しながら比較を。
おわりに
BIツールは、一度使われなくなっても、設定を調節すれば再び運用することは可能です。しかしその分だけ、他企業に遅れを取る可能性も出てきます。
現場に役立つ環境をスムーズに構築できるように、他の記事も読んでいただき、BIツールの知識や技術を深めてください。