今回はプログラミングスクール『.pro』さんのインタビューをお届けします。 プログラミング未経験者が8割という同スクール。どのような方が生徒になり、またどんなカリキュラムに沿って学習が行われているのか……修了後のキャリアについても含め、お話をうかがいました。 お話を聞いた人:株式会社D-ing 大金さん インタビュアー:いしましん |
転職 or 個人開発…スクールに通うのはどんな人?
―-サイトでは、Pythonコース、Front Endコースの2つのコースがありますが、どちらのコースがよく利用されるんでしょう?
大金さん「弊社でもかなり広告などでプッシュしていることもありまして、Pythonコースの利用者が全体の8割をしめています。ただ、Front Endコースの受講者も増えてきてますので、今後バランスはある程度、均等になってくるかなと思っています」
――受講される方には、どのような人が多いのでしょう。
大金さん「細かな動機はひとりひとり違いますが、大きくわけると2つでしょうか。
ひとつは、キャリアチェンジを目指したいという人。いまのキャリアでは将来の展望が見えない……という危機感から、エンジニアの職を見つけたいというタイプです。
もうひとつは、自分でサービスを作りたいという人。自分でサービスの立ち上げを目指す学生さんですとか、あるいは、新卒でなんとなく就職したものの、思っていた働き方と違う……と疑問を持ち始めた人などです」
――いずれにしても、かなりハッキリと目的を持っているんですね。
大金さん「そうですね。入校前の選考で行うヒアリングで把握している面もあるのですが、前提として強い目的意識を持って来られる方が多いです。
最近では『Pythonをやりたい』と言語を最初から決めている人も増えてきましたね。AIや機械学習といったホットな言葉を通じて、Pythonという言語を知った……という方が多いのかなと思っています」
「自分でわかる」がゴール。生徒の進度に合わせたカリキュラム
――『AIをやりたい』というのは具体的にはどんな例ですか?
大金さん「たとえば最近の例でいえば、チャットボットを使った自動受け答えだったり、TwitterやLINEなどの外部サービスと連携させてサービスを作ったりとか、そういったものを制作する方が多いですね。
そのほかに、画像解析や機械学習といった方向に進んでいく人もいます」
――生徒さんひとりひとりで、やることが変わってくるんですか?
大金さん「そうですね。弊社は、授業の進度をS・A・B・Cの四段階にわけておりまして、授業後の講師の判断にもとづき、生徒ひとりひとりの進度を把握しています。
Cが四則演算などの基本、Bは主に(註1)API周りの技術、Aからは(註2)FlaskやDjangoなどを使って、各々のやりたいことに応じた学習および制作……という形です。Bまでの流れは共通ですが、A以降は生徒さんにヒアリングしつつ、自身の作りたいものやキャリアにあった領域に進んでいく形です」
(註1)API…アプリケーションプログラミングインタフェース。外部のソフトウェア・サービスと自分のアプリをつなぐためのインターフェースのこと。
(註2)FlaskやDjango…共にウェブアプリケーションフレームワークと呼ばれるものの名称。ウェブサイトやアプリ等の開発をサポートするためのツールのこと。
――生徒ごとにやりたいことが違う場合、どういう授業の行い方をしているのでしょうか?
大金さん「授業というよりは、Aクラスになるまでに、わからないことを自分で調べていけるような方法論、考え方を並行して身に着けられるようにしています。適切な質問の仕方や、わからない場合の情報の調べ方などですね。
こうした方法論を知っておくだけで、生徒・講師ともに大きく負担が減り、モチベーションの維持にもつながります」
――『何がわからないのかもわからない』みたいなこと、初心者のうちはかなりありますもんね……私も何度か経験が……。
大金さん「仮に調べてわからなかった場合であっても、その過程で知った知識は、講師への質問時に役立ちますからね。
こうした方法論は、修了後の自己学習においてもよい習慣になりますし、ちょっとしたことのように見えて意外と大切なのかな、と思っています」
「いい意味で厳しい」――次につなげる指導システム
――授業のスタイルはどのようなものなのでしょう?
大金さん「黒板の前で授業を聞く、という形ではなく、作業や発表ベースに進めていく形になります。制作物を作っていかないと知識も身に付きにくいですし、作ったものは修了時の転職活動においてポートフォリオにもなります。
なので、課題は厳しめ、多めに出してますね。ただ作って終わりというだけじゃなくて、スライドを作り、発表して、質疑応答に答えるというところまでやる。
なので〆切前に『ヤバい間に合わないどうしよう』って頭を抱えている生徒さんをよく見ますね(笑)」
――原稿〆切前の自分もよくそうなります。あれはしんどい。
大金さん「生徒さんから安くないお金をもらっている以上、それに見合うだけの技術を身に着けてもらいたいので(笑)。中途半端は失礼ですし。
また、課題発表の日には企業の方も生徒の発表を見に来ていまして、プレゼンの内容によって、後の採用やインターンに繋がることもあります。実際、ある大学生の生徒さんは、修了後に私の知り合いの企業でインターンとして働いています。
――授業だけではなく、その後のキャリアまで繋げていくんですね。
大金さん「発表会だけでなく、学習進度や本人のやりたいことに応じてヒアリングを行い、卒業後に仕事を紹介するところまでサポートをしています。また、まだ実際に相談されたことはありませんが、起業をしたいという場合の手続きや資金調達の相談などにも乗ることはできますよ」
――未経験から6か月の学習で、仕事先は見つけられますか?
大金さん「正直なところを言えば、6か月の学習経験があっても、応募可能な職種は未経験の場合と変わりません。ただ、入社後の仕事への適応しやすさであったり、その後の成長の早さだったりといったものは変わってきます。
また、課題を通じて作成したものは自身のポートフォリオになりますので、求職時のアピールポイントとして、かなり役立つかと思います」
――仕事を見つけるコツにはどんなものがあるでしょう。
大金さん「未経験の場合は、『〇〇がやりたい!』と職種を限定するよりは、ある程度幅広く業務をするつもりで探した方がよいでしょう。逆にある程度ひと通りのことができる技術を持っている人は、自身が専門としたい分野に絞って求人を探すほうがおすすめです。
あとは年齢ですね。35歳を超えてプログラミング未経験、かつ転職が希望……という場合になってくると、転職も厳しくなってきます。面接時点でも、それは伝えるようにしていますね」
――エンジニアへの転職は35歳が上限ですか。
大金さん「最近ではさらに下がって、33歳くらいが天井となりつつありますね……30歳を超えて未経験、でもエンジニアに転職したいという方はやはり少し難しいかもしれません。
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だからこそ、生徒はみんな将来を真剣に考えています、先ほどの課題についても、量や難易度への不満はあまり聞かないですよね。むしろ『どんどんやりますよ!』と前向きの人が多い。
ある日、僕が授業の様子を見に行ったら、なぜか一人だけ立って作業してる生徒さんがいるんです。
『えっ、いじめられてるの……?』
と思って聞いてみたら、
『どうしても眠くなっちゃうから、立ってやってるんです!』って」
――ド、ドMだ……!
大金さん「そのほかにも、現役大学生でウェブサービス立ち上げてバイアウトした人ですとか、本当にすごい人が多いです。そうした人たちと同じテーブルで学べて学ぶことが、またお互いにとって刺激になるのかなと。
見学に来た人からよく『今まで見てきたスクールの中で一番にぎやかだ』って言われるんですよ。授業中に爆笑してることもありますし……。講師陣もみんな、いい意味でエンジニアらしくないというか、コミュニケーション能力が高い人が多いですよね。
――目の前の人と切磋琢磨できる、というのはオンライン学習にはない魅力ですね。
大金さん:「そうですね。オンラインでの学習は誰もみていないぶん、すごく意思の固い人じゃない限り、どうしてもサボってしまいがちです。
だからスクールの意義って、実際にいろんな人が集まる場を用意して『行かなきゃ』って思ってもらうことなのかなと思っています。
僕自身、自分より若い人がすごく高いモチベーションで頑張っているのを見るたび、『この情熱にきちんと応えなければ』と身が引き締まる思いですよ。
これからも『いい意味で厳しい』授業を通じて、生徒さんの力になれればと思っています」
――ありがとうございました!
施設情報
スクール名 | .pro(ドットプロ) |
住所 | 渋谷区渋谷2-12-13 八千代ビル8階 TOMO PARTNERS内 |
プランと料金 | ・Pythonコース ・Front Endコース いずれも6か月間(週1回・特訓24回) 498,000円(税別) |
その他のサービス・特徴 | ・延長継続サポート 特訓期間修了後も、講師のサポートを継続して受けることが可能 ・就職・転職サポート リクルーティングスタッフによる就職・転職活動のサポート ・独立支援サポート 卒業後のフリーランス・個人事業主の改行をサポート |
申込先 | 超実践型プログラミングスクール【.pro】 |