診療報酬包括制度をまとめるDPCデータとは何か解説!

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北爪 聖也

株式会社pipon代表取締役。 キャリアはADK(広告代理店)でテレビ広告運用をして残業120時間するが、ネット広告では自分の業務がAIで自動化されていることに驚愕する。そこで、機械学習受託会社に転職し、技術力を身につけた後、piponを創業。現在、製薬業界、大手監査法人、EC業界、様々な業界でAI受託開発事業を運営。

はじめに

今回は、DPCデータを見ていきます。DPC制度とは医療業界で運用されている制度で、入院医療を対象とした、診療報酬の包括払い制度のことです。DPCの正式名称は、診療群分類包括評価(Diagnosis(診断) Procedure(行為) Combination(組み合わせ))と言います。DPC制度は入院費の支払いに関わる重要な制度ですが、ここで扱われるデータがDPCデータです。

ここでは、DPCデータの詳細や何に使われるかなどについて見ていきます。

DPCデータについて

1) DPC制度の導入経緯

DPC制度が導入される前は、私たちが入院したときに発生する医療費は「出来高払い方式」という方式で計算されていました。出来高払い方式とは、検査、注射、薬など、医療行為ごとに料金を設定し、診療行為ごとの点数を積み上げて、その合計点数に相当する金額を支払う制度です。出来高払い方式は1958年に構築されて以来、我が国の医療を支えてきました。

出来高払い方式には、医師が必要と判断した医療サービスを、安心して提供できるというメリットがありましたが、効率的で効果的な医療が評価されにくく、不必要な医療行為が施されるなど、過剰な診療を招きやすいといったり、支払いのための事務手続きが煩雑といったデメリットがありました。

そこで、医療の標準化と均質化を図って医療の質を高めることを目的に、2003年4月にDPC制度が導入されました。

2) DPC制度とは

現在、入院時に発生する医療費は、DPC毎に設定される包括評価部分と出来高評価部分を合算して算出されます。これが、DPC制度で、包括評価部分で発生する診療報酬を算出するのが、本制度のポイントとなります。

包括評価部分に含まれる診療報酬は、入院基本料、生体検査、画像検査、投薬などですが、病名や診療内容を約5,000に分類した「定義テーブル」が作られており、該当する14桁の診断群分類番号を選んで一日当たりの入院点数としています。なお、一日あたりの入院点数は一定となっています。入院点数に入院日数を乗じ、従来通りの出来高評価部分(手術、胃カメラ、リハビリなど)を加えて、トータルの診療報酬の額が決まるようになっています。

3) DPCデータとは

DPCデータとは、各医療機関の診療情報のデータを指します。書式は全国で統一されており、様式1・Eファイル・Fファイル・Dファイル・Hファイル等で構成されています。

①様式1(診療録情報)

簡易的な入退院の情報です。患者の性別や生年月日、入退院日、病名・手術の情報などが記載されており、患者の履歴を把握できます。

②Eファイル、Fファイル(出来高レセプト情報)

毎月1回作成されるファイルで、診療報酬が発生する診療行為をどれだけ実施したか、が記載されています。

それぞれのファイルには、識別番号、入退院年月日、データ区分(手術、検査、処方などの診療区分に対応)に関する項目が共通して記載されています。そして、Eファイルには実施年月日や行為回数など、Fファイルには診療明細の名称や使用数量などが記載されています。

平成23年度から両ファイルは、「EF統合ファイル」に統合されています。

③Dファイル(包括レセプト情報)

病名や診療内容から定められた「診断群分類点数表」により算定する、患者の診療報酬請求情報が記載されたファイルです。これはDPCコードと呼ばれる、意味のを持った14桁の数値で表されます。

例として、DPCコード「100010xx011100」を挙げると、各桁の意味は以下の通りです。

1~2桁目(10):18の疾病群

1~6桁目(100010):ICD-10に対応した病名

7桁目(x):入院種別

8桁目(x):年齢・体重など

9~10桁目(01):手術などサブ分類

11桁目(1):手術・処置など1

12桁目(1):手術・処置など2

13桁目(0):副傷病名

14桁目(0):重症度

④Hファイル(カルテからの日別の匿名化情報)

患者の重症度、医療・看護の必要度を記した看護情報ファイルです。実際に行なわれた看護の内容が分かります。

4) DPCデータの活用

それでは、DPCデータを活用する方法を見ていきましょう。全国のDPCデータを集計した情報は年1回、厚生労働省のホームページで公開されています。この公開データを分析することで、全国の中での各病院のポジショニングや、地域における戦略を策定することができます。

2020年3月に公開されたデータは、こちらで見ることができます。このサイトで、膨大な下図のPDFやExcelファイルを手に入れることができるので、目的に応じて必要なファイルをダウンロードしてみてください。

DPCデータを使えば、経営分析などマクロな視点での分析や、自院の診療行為の改善などミクロな視点での分析が可能となります。

例えば、マクロな視点での分析として、自院の紹介患者の数は近隣の病院と比べて多いのか、過去からの推移はどうなっているか、自院の得意とする疾患の症例数は全国でどのくらいの順位なのか、自院の平均在院日数は他院と比べて長いのか、などの分析ができます。

また、ミクロな視点での分析として、ケアパス(入院診療計画書)の改善、投入する医療資源の妥当性評価、最適な在院日数の算出、などの分析が可能です。

具体的な活用事例

データの性質上、DPCデータは主に医療機関で活用されています。具体的な活用事例の分かるサイトを紹介します。

①福祉医療経営情報(DPCデータを活用した経営改善策)

https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiiryokeiei/dpcdeita/kateikaigo.html

DPCデータの活用した経営改善策に関する事例が紹介されている、全6回のコラムです。情報量の多いDPCデータの何をどう使うかの参考になる事例が豊富です。

例えば、自院のポジショニング、近隣病院との比較、他病院との連携戦略、業務改善などの活用事例が掲載されています。

②ExcelでDPCデータ分析①自院のDPCデータを活用しよう!

http://dpcri.or.jp/index.php?plugin=attach&refer=SeminarPage%E2%80%8B%2F2016_08_29%E5%8C%97%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC&openfile=20160829%E4%BB%8A%E4%BA%95.pdf

こちらは、DPCデータの分析に関するセミナーの講義資料です。解析に用いるデータは入手できませんが、どのような分析ができるのかが丁寧に説明されているので、DPCデータ分析の参考になるのではないかと思います。

データの読み方や、解析の際に参考となるサイトの紹介がとても参考になります。残念ながら、Excelを使って具体的にどう解析するかまでは記載されていませんが、クロス集計表、ヒストグラム、棒グラフなど、基本的なツールを使った解析に留まっているようです。

おわりに

今回は、病院で使われるDPCデータを紹介しました。ニーズがかなり限定されるデータということもあり、インターネット上で活用事例を見つけるのは難しいのが実情です。ただし、医療業界では非常に重要なデータですので、医療業界でデータ解析業務を行おうとしている方は、DPCデータを確実にチェックするようにしてください。

参考サイト

DPCデータを用いた病院マネジメント

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/iryoujyouhou/dai7/siryou3_8.pdf

ExcelでできるDPCデータ活用術

https://media.toriaez.jp/r1035/064897162851.pdf

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